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黒田喜夫関連本のご紹介など

おそろしくひさしぶりにブログを更新してみた。

本日2018年2月28日は黒田喜夫の92回目の誕生日なので、記念の資料(?)を1点掲出しておきます。1959年ごろのものでしょうか。個人情報に類する部分は消してありますが、転載や流用はご容赦ください。

2年越しでお待たせしている『不安と遊撃 黒田喜夫全集』は、いま第1巻を鋭意編集中です。とりわけこの巻は、単行本未収録のテクストや新発見の資料が、予定より増えることになります。当初ご案内していた構成や予価も変更になるかもしれませんが、くれぐれもご了承ください。2018年秋までに本の形にするつもりで作業中です。

昨秋以来、いくつかの黒田喜夫論、関連書籍が発表になっています。遅まきながら、事務局宛にご献本いただいたものを中心に、とりいそぎご紹介させていただきます。いずれも貴重な成果ですので、ご関心のあるかたは、ぜひ手にとってみてください。

1) 椹木野衣「飢餓と渇望の絵:奈良美智とあんにやの世界」

『ユリイカ 総特集*奈良美智の世界』(2017年8月臨時増刊号)所収

奈良美智のあの特徴的な子どもたちは図像表現としてどのように成立してきたのかを、黒田喜夫の「あんにや」像と重ね合わせて捉えた論考です。近年の黒田論のなかでも異色であり出色でした。

くわしくは→ http://bit.ly/2HNVj7v

2) 下平尾直「『燃えるキリン 黒田喜夫詩文撰』」

栗原康監修『日本のテロ:爆弾の時代60’s - 70’s』(河出書房新社、2017年8月)所収

本書は、東アジア反日武装戦線をはじめとする60年代70年代の革命闘争を知るためのムックですが、そのブックガイドの1冊として『燃えるキリン 黒田喜夫詩文撰』(共和国、2016年)について書かせてもらいました。

くわしくは→ http://bit.ly/2HQDULu

3) 竹内栄美子編『大衆とサークル誌:コレクション戦後詩誌9』(ゆまに書房、2017年9月)

山形県下の結核療養所で療養中だった黒田喜夫が中心になって、1952年10月に創刊された詩誌『詩炉』のうち、現在閲覧することができるほとんどすべてを復刻し、1冊にまとめた貴重な資料集です。本書によって『詩炉』のほぼ全貌が読めるようになったのは特筆されるべきでしょう。

くわしくは→ http://bit.ly/2COXT9x

4) 藤原辰史 『戦争と農業』(集英社インターナショナル新書、2017年10月)

『黒田喜夫全集』に解説を寄せてくださる執筆者でもある藤原辰史さんが昨秋に刊行したこの新書の「第三講」で、黒田喜夫のもっとも重要なモティーフを媒介にしながら、この地球を覆い尽くしつつある「飢餓」を語っています。

くわしくは→ http://bit.ly/2F2p1nJ

5) 金時鐘+佐高信『在日を生きる:ある詩人の闘争史』(集英社新書、2018年1月)

6) 『幻の詩集、復元に向けて:金時鐘コレクション第2巻』(藤原書店、2018年1月)

『在日を生きる』は、『黒田喜夫全集』の編集委員にもなっていただいた金時鐘さんが、詩と政治について佐高信さんと語り尽くした対談集。時鐘さんがもっとも私淑した詩人の一人として、黒田喜夫の名前が何度か挙げられています。

また、その時鐘さんの詩文を集成した全12巻のコレクションも刊行が始まっています。第1回配本では、黒田喜夫が出版に一役買った『日本風土記』およびおなじく黒田の斡旋があったものの政治的圧力で未刊に終わった幻の詩集『日本風土記Ⅱ』の復元版が収録されていて必読です。

くわしくは→ http://bit.ly/2ovV9d6

7) 新城兵一「北川透の黒田喜夫:北川透『現代詩論集成2』から」

『宮古島文学』No. 13(2018年1月)所収

詩人の新城兵一さんによる80枚を超える長篇批評。『詩と反詩』に解説を寄せた北川透のいくつかの黒田喜夫論が1冊にまとまったのを機に、それらを丁寧に読みながら、このふたりのモティーフが乖離してゆくさまを論じています。

くわしくは→ どうしたら入手できるかわからないので、ご関心のある方はメッセージをいただければ、連絡先をお知らせします。

とりいそぎざっとご紹介しただけですが、ほかにも掲載誌を教えていただければ、随時ご紹介いたします。

そして、『全集』の前に『燃えるキリン 黒田喜夫詩文撰』の在庫が出版社にはまだまだあるので、これがもう少し売れてくれないことには『全集』どころではありません。まだお持ち出ないかたは、ぜひとも手にとっていただければ幸いです!

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